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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

七月二十六日夜

と云われている心持になりました。きょうは土曜日なのが、何と残念でしょう。御苦労様、本当に御苦労さま。あしかけ五年ぶりです。このほんの短い一行にこめられている内容を考え、電報を書いていらっしゃるときの気持を考え、さっぱりした浴衣でも、うしろから着せかけて上げたいようです。よく電報をくだすったことね、ありがとう。では、この手紙も普通に近く着くことになりましたわね。はじまりの方は、半月ばかりかかるものとして書いていたのだが。

月曜日には出かけます、ここからは池袋へ出てバスで、全体二十五分ぐらいでゆけるから。今日何か一寸してあげることは出来ないかしら。仕方がないから、色鉛筆の花をさしあげます。では月曜ね

(自注7)「キンシカイジョ」――一九三四年十二月未決におくられてから四年めに、接見禁止、書信の禁止が解除された。予審終結の結果である。顕治は事実を公開の公判廷で陳述することを主張して白紙のまま予審終結をした。

七月二十六日夜 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

七月二十六日  第三十八信

やっぱり手紙を書かないわけにはゆかない。猶書かずにはいられないようなところもありますね。