轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

単に処置の問題でない影響を与えられました。その苦しさと憎悪とが、きびしく自分のこれまでの態度というものを顧る方向に向けられた。謂わば、何の気もなしいつの間にか張り出していた庇がふっとんで、俄に万事が一目で見渡せる明るみに出たと云った工合です。

貴方がおっしゃることがわかったと思っていた去年の正月あたりの事も、この情態で一層くっきりと、人間交渉の丸彫りの姿、小説にかけるだけの生々しさで(現実性で)再び浮んで来て、頭で、そういうことになると、わかったという領域から、今更ながらそれが見えていやだという感情にまで進みました。

この庇のふっとんだ感じは、私の生涯にとって、真に大切なことであったと思う。こういう、身にこたえた教訓、思い知らされた思いは、これまでに一度あります、或る春。愛情というものの確的な質と行為の本質を見失うと、死んでも死に切れぬ目に会うということを知らされた経験。これは生涯の教訓となっている。私の一生にとっては一夜のうちに死し、而して辛うじて甦ったような経験でした。質は違うが、今度私が感じた庇のふっとんだ感じは、今の段階の私にとって、やはりこれからの何年間、或は全将来への警告となったものです。