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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

どうも出ていそうもない、そう思います、欲目でなく。糖の出る尿の独特なトロリとした重さがないから。勿論わかりませんけれども。

ところでこの手紙は今朝から二つ目。そのわけは、一つを書き終りかけたら不図気がついてテーブルの奥の半ペラ原稿紙をあけ第四十八信として、三十一日の夜更けに書いたまま出さずにいた手紙を見つけ出したからです。とんちんかんのようになったので、初めの分はおやめで、これを書き直しはじめたわけ。あなたが九月六日に書いて下すった返事に、二十八日の(文学のことを書いた分でしょう)二つ目と三日に書いたのとを読んで下すった感想があり、三日のは切手三つはった分で、大切なのだったと思う。それの番号はどうついていたでしょう。

三十一日の夜のあの大嵐でこわくて眠れなかったので起き出して書いたらしい、短く。あなたももしや目をさましてこの凄じい風雨をきいていらっしゃるかしらと書いています。カーテンのないガラスのひろい空白にこの稲妻や雨はどんな夜の眺めでしょうとも書いている。

あの晩は家がゆさゆさゆれて眠れなかったから出すのを忘れたのか、三日の手紙にもっとこまかに内容を書きのばしたので、これは出さなかったのか。