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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

そこがはっきり覚えていません。三日の手紙四十八信として居りましたか? こんど教えて下さい。この出さなかった分で、特に伝えたいことはないけれども。あなたが、先達中の手紙に、よく一応は判るが、とユリの手紙に答えていらした、その気持。一応わかるが、まだ何か底をつき切っていないという感じが、三日の手紙を私が書くまで貴方のお気持にあったことの必然を認めていること。八月が我々の生活、特に私にとって実に内容に富んだ意味ある月であったこと。それらを話して、瞼からウロコの落されたことのよろこびを話して居ります。

瞼からウロコの落ちたこまかな有様については三日にかき、それを貴方も肯って下すった通り。

一般の生活の混乱が著しいときこそ、益※(二の字点、1-2-22)自分を甘やかさず、事情を甘く見ず、自身の到達している箇所の動的性質をはっきり知って、押しをゆるめぬということ。本当にそうです。友情というもののもつニュアンスにしろ、やはりその時期の事情を反映するから、その微妙に変化しつつある現実を見ずにもたれかかっていればやはり共倒れですものね。しゃんとしたことを云う何のよりどころが貴様にある、そういう居直りが横行しているのだから。