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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

そんな風にはじまる。

「理性とは行動を、あとから理屈づけるものである」云々。そういう調子でこの書若し諸君の人生指標となれば幸、と云った前書きがあり、さて、「自分は、アジアの奥の故郷から、西へ西へと追われた部族の出である」と云って本文に入っている。猶太人ということでしょう? スメドレイという人は、おそろしい程、むきつけに書くひとです。昔の作品では、殆どアナーキスティックと云える位のむき出しで、人生にこわいもの、見栄を知らず生きて行く女の、おそろしい率直さと、行動の真の意味を客観的につかみ得ていないところから、アナーキスティックな風になってさえいる。ストロングは正反対ですね。「我」という意識の流れは孤より衆へ通じ云々と。迚も読みつづけられない。どうして、そしてどの範囲で英語新聞の編輯などやれたのかと、計らざる感服をしました。

第一書房からバックをうけて、あの売行を保とうとして出されたミッチェル女史の『風と共に去りぬ』Gone with the Wind。『タイムズ』の文芸附録に、本やが Going, Going! と増版を広告していますが、日本ではそれ程の売ゆきを示さず。