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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
話というのはね、あのひとの生活ぶりについてこの間から考えていたこと。咲のいないときすっかり遠慮のない表現で一度話したいと思っていたので。
私が早寝早起きを励行しているというのにはすっかりびっくりして、敬意を表しました。その実、本人は(私は)まだそれが習慣として身につくところまで行っていないから、まるで早ね早おきに使われて、夕飯を終ると宵の口から眠る時間を気にして滑稽しごく。しかし私はひとが笑ってもこれはやります。どうしてもやります。このねうちの感じかたは、或は貴方がお考えになるより深いのではないでしょうか。
咲枝、太郎は二十六日ごろかえって来る由。太郎すっかり田舎言葉で「いがねえか」など尻上りに云っている由。
この間私に国府津へでも行くか? とおっしゃったとき、二日ばかりも、とお云いになった。二日、という区切りかた、二日いたから? 一ヵ月もと云われず、二日もと云われた方、笑えるようなところがあって、しかも私にはいい心持でした。ゆく行かないにかかわらず。
国男さん、安積へ誘うが、やっぱり行きません。東京の日々の暮しで、きっちり習慣をつけてしまわないうちから動くと心配ですもの。