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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
十月十三日
神経質体質では八度越す人もある由。やはり夕刻五時頃が一番たかいから、もしこれから一ヵ月平均をとって見るとすれば、その時間だけ統一して見てもようございます。しかし本当のところ、私は一ヵ月の調査で十分な気がしているのです。どうお考えかしら。早寝早おきは、これさえ守って行けば、大変病気はふせげるという確信もつき、それが自分の習慣になったことも感じます。それには早朝の挨拶が何よりの役に立ちました。これはいつまでもつづけます。おもゆにきみのおなかではさぞだるいでしょうね。野菜スープ上っているでしょうか、あの匂いはおきらいですか。大してきらいでなかったら、やはりあがった方がいいのではないでしょうか。出来るだけ種類を増すために。本当にリンゴをすってあげたいこと。では又、小母さんがいらしての様子を。
十月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十月十三日 第五十九信
一ヵ月ぶりの手紙は頂く方も大変珍しい。この間うち、随分お書きにならないなと思っていましたが、心持は全く膝つき合わせているから、或はそういう at Home さで、うちにいて、よそへは手紙書くように、誰彼へ書いていらっしゃるのかもしれないと思って居りました。