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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

そのことには、単に私が甘くて、名士好な人物に下らなくおだてられた(私として最大限の表現です)のが不愉快であるという以外に、ニュアンスがふと感じられたのでしたが、私のその感じは当っていたでしょうか。もし当っているとすれば、猶いやね。猶書くのがいやね。何故なら、そういうニュアンスに対して何とか書くべき本来の何ものもないのですもの。あのことは、形にあらわして書いて見れば、抑は、あなたへ特別心づけて本を送っているとか、便りをしているとか聞かされているので、それにC子さんとのつながり、Rちゃんとのつながりもあり、出て来て病気で、本もいるのに手に入れ難いらしいので、謂わば私としてはお礼心にやった。すると忽ちS子さんとごたごたして、私の知らないところで進捗して、事後報告をされて、S子さんは下宿代が送られなくて家がなくなったとさわいで、目白へ一緒に来たわけです。あのこと、このこと、ちょいちょい違って私が書くことで、何かをよけているためそれが生じているかのようで不愉快なの? そうだとすれば困ったと思う。だってそんなことは勿論計画的な結果などでありようのないことなのですものね。