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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
一日に地べたを踏むことがない人、いつもアスファルト道しか歩かない人は、一生のうちよほど体を参らすらしい。ひどいものですね。郊外に住むということが益※(二の字点、1-2-22)贅沢の一種になるわけです。
先ずお父さんの御様子から。昨日お母さんからお手紙が来ました。実にいいあんばいに熱もすっかりなく、医者(秋本ですが)も大丈夫と云ってびっくりしている由。食事は朝牛乳一合、おひるおかゆ一杯お汁、おろし大根とさしみ。夕略同じ。衰弱もお回復で「血色もまことによくなりましたから決して御心配下さいますな」そして食事の外は「いつもおとなしく休んでおります」「顕治にも心配せぬようお伝え下さい」とのことです。
島田の方はお医者様が何人か出征して、五ヵ村に秋本さん一人です。その医者で御なおりになったのですから、実に万歳ですね。私は殆どびっくりするほどであるし又しんから嬉しい。あなた方の体質はこういう型なのですね。私の方は父ゆずりで溌溂としているがしんが脆い(生理的に)。
あちらでも遠いところをと云って居らっしゃるしするから、急に行くことはやめます。そして四月になって一段落をつけて、一寸御様子を見て来るかもしれません。