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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

一月二十二日

一月二十五日

一応うまいのは分るが、という絵が何と多いのでしょうね。うまさに於てこれも場中に光っていた方の部です。

一月二十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(山と水辺と村の風景の絵はがき)〕

一月二十二日、あしたは日曜日でこの天気では雪になるでしょうか、雪は可愛いから降ってもいいことね。月のない代りに雪の夜にでもなったら、又異った眺めでうれしいと思います。あしたは防空演習だけれども午後は神田へ行って、およろこびのしるしとしていいものを買って頂きます。その中にはドンキホーテもプルタークもある国民文庫刊行会のシリーズです。夢二のこの絵はどこか瀬戸内海らしくて島田のどこかに似ているようです。

一月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

稲ちゃんのところへ、ひさが手つだいに行っていて、ひっそりとした午後三時。右手の薄青い紗のカーテンを透して午後の斜光が明るくさしている。机の上へ父の元買った小さいマジョリカの花瓶(中世には薬瓶としてつかわれたもの)をおいて、黄色いバラを二輪活けて、これを書いて居ます。きょうはすこしゼイタクをしてバラの花を二輪ぐらい買ったってよい。