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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

鶴三はレビューを油で描くのはよいとして、その見かた描きかた、「こんなのもやりますと云っているようだね」という評が適切です。これを見ても、私はそう云っていてはきりがなくなる、と云われた貴方の言葉を思い出し可怖るべしおそるべしと毛穴から油あせを感じた。先生先生とぺこぺこされ、金になり、描くほどに金になってゆくと、こういう袋小路につまるのですね。往年の春陽会の気品というようなものは熱心と探究心とを失って、まるでお話になりません。これから見ると、国画展の方が生気があり、ましで、一枚一枚を見ようという気をおこさせた。

いつか、麦遷と溪仙との遺作展があって偶然見たことを書いたでしょうか……土田麦遷という男が展覧会の大きな大原女などで試みて居たものが、そこにあった花鳥小品にはちっとも徹底していないで、全く平凡な色紙絵のようなのにおどろいたこと、書いたかしら。溪仙の方は碧紺などに独特の感覚があり、空想力もゆたかでたのしんでいるところ遙かに面白かった。

何か色の絵はがきを送って上げたいと思って、上野では暫く見たがろくなのがないからやめてしまいました。

ところで、改造の本ですが、あれは品切れで(本やは絶版と云ったが)一寸手に入らないので、改めて古本屋にたのむことにいたします。