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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

三階の廊下で、出あいがしらに機械人間の電鈴が鳴りだした時には、もうだめだ! と観念したが、祥子をせきたてて、最初から隠れるつもりだった、機械人間のおいてある部屋に急いでとびこんだ。

電鈴の音で目をさました要塞員たちが、部屋からおきだして来た時には、英夫たちがとっくに隠れてしまったあとだった。

「ちぇっ! 機械人間め、故障をおこしやがって、とんだ人騒がせだ」

ぶつぶついいながら、要塞員たちがひきとって行った。

英夫は、シンガポールの兄に急をしらせるために、第一に無電室の奪取を決意した。部屋の中におかれてあった、機械人間の中味をそっくり取り出すと、二人とも、その中に入って無電室を襲ったのだった。

二人でそろって行くのは怪まれるおそれがあるので、祥子だけは下に待たしてあった。

英夫の計画は大成功だった。見事に二人の男を仆してしまうと、急いで発信機のレシーバーを耳にあて暗号を打って兄を呼び出した。連絡はすぐにとられた。

――万端の手配をおえ、至急救助船をおくる――

謙一中尉からも時を移さずそういう返電があった。

英夫は、元のようにすっぽりと機械人間の中に入ると、急いで無電室を出た。