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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

冬の朝らしい、寒々とした薄い霧のかかった雪の街を、曹長の運転した自動車は、羽田の空港に向って走った。

「新らしい任地って、やっぱり南の方ですか?」

英夫がきいた。

「そうです。しかし、あなた方の行かれる方ではありません」

しばらく、考えるようにしてから、曹長はまたつづけた。

「これは、あなた以外の方には絶対お話し出来ないことですが、実はこのごろ、某方面の海上で、時々、日本の輸送船団が敵の潜水艦にねらわれるのです。海軍の警戒が厳重ですから、まだ大した打撃を蒙っていませんが、いつ、どんなことがおこらないともかぎりません――、その根拠地を突きとめて、根こそぎやっつけようというわけですが、いまだにどこにあるのかわからない状態です。……殊によると閣下がゆうべお話しされたろうと思いますが」

「僕、ちっとも知りません」

敵国にそういう陰謀があろうとは、英夫ははじめてきいた。

「そうですか、敵はたしかにそういう秘密の根拠地を持っているらしいです。さもなければグアムや、ウェーキはもちろんのこと、香港も、フィリッピンも、シンガポールも、いや蘭領印度の基地も叩きつぶされているのに、どうして怪潜水艦がたびたび輸送船団をつけねらうことが出来るでしょう! 隼のように眼を光らしているわが海軍や航空部隊に対して、あまり大胆すぎるんですよ、秘密