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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
「敵もさるものだよ、英夫君」
大尉がいった。
「こんどというこんどは不意を打たれたが、お礼はして見せる」
「一体秘密の根拠地って、どんなんです、もう大体見当がついているんですか?」
「そいつが簡単にわかるくらいなら、何も苦労はしないさ」
と、大尉は伸びた頬鬚をなでまわした。
あれ以来、大尉の鬚はぼうぼうと伸ばしたままだった。
「だが、敵の攻撃地点、攻撃方法、攻撃目標、気象や潮流の関係、攻撃当時のさまざまな状況――こいつは一口にいえないが、世界各国のどんな小っぽけなところでおこった、どんな小っぽけな事件にも関係していることがあるから、そうしたことを一々統計にとったり、組合わして見たりすると、大体の見当がついて来る。こんどはそれを実地に当って見る。そうすれば、人間のやること、人間の考え出したことなら、たいがいわかって来るものさ、こいつは僕の秘訣で、英夫君だから伝授してやるが、他人には口外無用ってところなんだ、はっはっは」
大尉は冗談とも真面目ともつかないように笑いとばした。
「じゃあ、こんどの事件もそれに関係があるわけですね」
「もちろん、大ありさ、思ったより大がかりな仕組になっているのかも知れないね」