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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

「僕は、そのトランクが怪しいと思うね――、中味を調べて見よう」

「ええ、あたしもそう思うわ」

トランクの在所はすぐわかった。が、鍵がかかっているらしくあかなかった。

それは、黒い革の、ありふれた旅行用のトランクで、ちょっと見ると何の不思議もないようなものだったが、ひどく重かった。

英夫は、何か思いあたったらしく、そっと耳をあてて見た。

と、聞える……かすかに、コチコチコチと時計のセコンドを刻む音が聞えるのだ。

「時計爆弾だ!」

「えっ!」

二人は顔を見合わした。

「どうしましょう、何か道具がないとあけられないわ」

「これで趙の一味の素性もわかったわけだ。この船に軍需品を積みこむのを狙って爆破しようとしているのだ」

「じゃ、軍用船だったのね、あたし、ちっとも知らなかったわ……大へんだわ、すぐ船長さんに知らして上げなくっちゃ」

「ところが、外から錠がおりてるんで、僕も出られないんだ」

「まあ!」

「ゆうべ僕が時計を見た時十一時四十五分だったから、十二時に装置したとすればこの十二時か、今夜の十二時に爆発するようになってるのかも知れないね。この十二時だと、あと十五分しかない!」