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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
星の降る空
「石油ならことこと水のような音がするわ、それに、もっと重いはずよ」
「じゃあ、何が入っているんだろう? 何か役に立つものが入っているかしら……」
「空缶だっていろいろ役に立つわよ、とにかく開けて見ましょう」
「ところが、開けるものがないんだ」
「困ったわね、……岩角にぶっつけたらめちゃめちゃになってしまうし……」
「そうだ、あれだ!」
英夫はボートから釘を抜き出して来た。
釘と、石ころの金槌で、たんねんに蓋のまわりに穴をあけると、ようやく蓋をとることが出来た。
厚い蝋紙に包んだ中をのぞいて見ると、まだ手をつけてない食糧がぎっしり詰っているのだった。
「ビスケットだわ」
祥子はうれしさにおどり上った。
「すごいぞ! すこしずつ食べたらしばらくはあるね」
二人はそれで、やっと空腹をみたすと、次のいろいろな用事にとりかからなければならなかった。
星の降る空
スコールに洗われた椰子の葉が、さわやかな音をたてて揺れている――。
英夫の腕時計も、いつの間にかちぎれてしまったらしく、時間もたしかではなかった。が、太陽の位置と、椰子の樹のかげとで、もう午後になっていることがわかった。