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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
ボートが、ひとりでにするすると動き出し、加速度的に速力が加わって行くのだ。
「あっ! 動き出したわ、動き出したわ」
「わかった! このボタンで船を動かすように出来てるんだね……ああこれでやっと助かった」
「海岸からはなれて、沖の方へ出て行くわ、かなり速く走っているのね……」
祥子は出入口から首だけ出して外をのぞきながらいった。
「沖へ出るようになったのは偶然だけど、反対の方向に矢印のついたボタンを押すと、海岸の方へ進むことだけはたしからしいね。だけども、自由に方向を変えるのにはどうするんだろう、横の方に矢印のついたボタンはたった一つしかついてないけど……」
「ずっと遠くへ行ってしまったら、もうこっちのものよ、ゆっくり研究したっていいわ、……だけど、あの人たち、後でずいぶんおどろくでしょうね」
「まごまごしていたら、こっちがどんな目にあわされるかわからないんだもの、あたりまえさ」
と、突然、つづけざまに銃声が聞えた。
「危い!」
英夫は、まだ扉の前に立っている、祥子を内側へ引きもどした。
上陸した四人もとうとう気がついて、引っ返して来たらしかった。
かなりあわてて、右往左往しているらしく、まだ射程距離にいるはずの船にもほとんど当らなかった。