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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
秋の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页
第二百六十七 魚の区別
とまたもや得意の長広舌。
第二百六十七 魚の区別
主人の長広舌も客の耳には蒼蠅からず、小山は新智識を得る事とて熱心に「中川君、玉子の新鮮なものは光沢がなくって古くなると光沢の出るのは何故だろう」中川「あれはね、玉子の殻が新鮮なものは石灰質に包まれている。その石灰質は空気と水分とに溶解されて段々消えてしまうのだから玉子へ人の手を触れずに置ても古くなれば自然と光沢が出る。決して人が手で擦るから光沢の出る訳ではない」小山「それでよく解った。今の問題中に玉子は何故に銀器を曇らすやという事がある。どういう訳かね」中川「今も話す通り玉子の黄身の成分中には硫黄がある。硫黄は非常に銀を黒くするものだから玉子料理を長く銀器へ入れておくと段々曇らせるのさ」小山「なるほどね、問題中にはないけれども玉子を長く湯煮ると黄身の周囲が薄黒いような色になるね。新鮮な玉子でもそうなる。あれはどういう訳だろう」中川「それも今の通り黄身の硫黄が高熱に逢って酸化するのだ。新しいものほど硫黄分が多いから余計に変色する。古くなるとかえってそれが減少して変色が寡い。同じ新しい玉子でも放し飼にした鶏の玉子は余計に硫黄分を含むから変色が甚しい。