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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
秋の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页
第二百七十 茶碗鮨
むしろライスカレーのように飯へかけて食べればよいがそれにしては味が物足らん。こういうものは追々研究して東西の料理を混化するようにしたいものだ」と一々研究の種ならざるはなし。
第二百七十 茶碗鮨
主人の中川は先ず我前なる茶碗を執り「小山君、その飯を試み給え。それは茶碗鮨といって非常に美味いものだ。何杯でも食べられてうっかりすると食べ過ぎるほどの物だ」小山茶碗の蓋を取り「なるほど飯の上に何か載せてある。一つ味ってみよう、ウムこれは結構だ。お登和さん、どうぞお更りをつけて下さい。何となく跡が食べたくなって食慾が非常に進むね。これはどういうお料理だ」中川「これは先ず西洋料理のライスカレーに似たようなものさ。胃を刺撃して食慾を進めるから秋の料理といっていい。これには鮪の身の極く上等でないといかん。羊羹のような上肉ばかりに限るのだ。その鮪を買って来て小さく四角に即ちサイの目に切っておく。別に醤油一杯と味淋一杯と酢一杯とを三等分にしてよく煮詰めて火から卸した時鮪の身を入れると鮪の端が少し白くなる。それへ山葵をなるたけ沢山入れて攪き廻すのだ。よくこの料理を泣く御飯といって山葵の辛いので泣きながら食べるといった位なものだ。