轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くいどうらく

食道楽

村井 弦斎

秋の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页

青空文庫

第百八十七 蠅取男

第百八十七 蠅取男

心尽しの御馳走は十数日の後中川兄妹の苦心によりて漸く整いぬ。広海子爵は招待に応じて玉江嬢とともに中川家へ来れり。小山夫妻も招かれたれどもさり難き用事ありとて参会を断り、隣家の大原も前日までは来会のつもりなりしが今朝に至りて大阪より電報達し両親と叔父叔母が帰り来るとの知らせにお代嬢のため引留められて出る事叶わず。中川家の客席は人少くして淋しけれども広海子爵は結句他人を交えぬがよしと心窃かに悦ぶ所あり。主人の中川は胸中の抱負こそ敢て人後に落ちざれども書生上りの痩世帯、爵位ある上流人士を家に招きしは初めてなれば何となく心苦しく覚えて事ごとに言訳けし「広海さん、こんな狭くるしい処へお呼ばれなすったのはお初めてでしょうからさぞ御究屈にお思召しましょう。それに私は世人に向って家屋の不完全を攻撃しながらこの家は御覧の通り何事も不完全だらけです。これも借りている家ですから致方がありません。どうか行届かない処は御容赦なすって今日は緩々お遊び下さい」とまた昔日の元気に似ず、今日に限りて座蒲団の汚れが殊に目立ち、畳の焦痕が俄に拡がりしように覚ゆ。広海子爵は主人の抑損するを気の毒がり「イヤ中川さん、決してそんな事をおっしゃるな。