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くいどうらく

食道楽

村井 弦斎

秋の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页

青空文庫

第二百二十六 チース料理

食べ馴れると実に美味いものです。赤茄子の中をくり抜いて胡瓜や茄子へ肉を詰めた通りに詰めてテンピで焼いても結構です。何でも最初食べ馴れない物を人に御馳走する時は不味く拵えて懲々させるとモーいけません。腐りかかって匂いの付いたバターを昔し風の婦人に食べさせて懲りさせたり、臭いヘットで揚げたものを出したりすると西洋料理は一度で降参だという人が出来ます。西洋料理の後で出るチースなんぞは大概な御婦人は最初にお嫌いなさいますね」玉江嬢「チースですか、あれは私も閉口で我慢にも戴けません」

第二百二十六 チース料理

お登和嬢打笑い「オホホ誰でも最初はそうですが一度チースで拵えた美味い料理を召上ると、初めての人でもその味を覚えて後には料理しないチースまで召上るようになりますよ。あれは牛乳から取った極くの精分で大層消化を助けるそうですが、しかし沢山食べ過ぎると逆上ます。チースを料理にしますのは色々ありますけれども軽便で誰にでも食べられるのがチースのフエタスです。それは先ず玉子の黄身二つへ小匙一杯の砂糖と大匙八分目のバターとを混ぜてよく煉っておいて大匙三杯のメリケン粉を極くザット混ぜて中匙一杯の牛乳を加えてそれへ白身二つのよく泡立てたものを加えて衣としてチースを小指位な大きさの四角に切ってその衣へ包んでサラダ油で揚げるのです。