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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
秋の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,435 字 · 329 页
第二百五十九 一名案
なおその間へ唐辛子を四、五本ずつ挟み漬けてもよし。
○鰯を煮付になす時梅干一、二個入れて煮れば生臭味を去る。
○鰯を味噌煮にて食すれば中毒せずという。煮方は鰯を丸のまま頭と臓腑とを取去り、別に赤味噌を裏漉になし味淋と水とを加えてドロドロにゆるめ唐辛少し入れ前の鰯を入れて煮るなり。
第二百五十九 一名案
中川の帰りしよりお登和嬢も小山もともに台所を飛出したり。お登和嬢は兄の報告を聞くが待遠しく、座敷に入りて席に着くが否や「兄さん、広海さんの方はどうでございました」と今はただ大原の事のみ気にかかる。中川は満面愉快らしく「お登和や安心するがいい、広海さんの方で名案が出たよ。小山君、さすがに広海子爵は世事に老功だけあって我々とは考えが違う。大原君の事情を話してこういう訳だが助ける工風はありますまいかと相談したら、それは何より先に本人同士を遠ざけねばならん、一つ処に置いては何と騒いでも無駄だ、二、三年か四、五年も大原君とその娘とを遠く引離して置けばその中に自然と形勢も一変する、田舎娘の熱情は一時性のものだ、決して覚悟のある永久性のものでない、その代り一時性のものは熱度が最極端まで上昇するから熱度の昇っている時外から何といっても理解せん、何でも早く本人同士を引離して緩々善後策を講ずるに限るとこういわれるのだ。