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さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
金掘りはこの世の地獄だってえことを云うだろう、名こそ違うがここも石川島、きさまたちのやりようによっちゃあここも佐渡に劣らねえ地獄になる、そいつを忘れるなよ」
そして彼はいまいましそうに五人を睨みつけ、地面へ唾を吐いてから、大股にそこを去った。次には四十四、五歳になる男が前へ出て来た。これはとしに似あわないやさ男で、着物の衿が首をしめるほどひき合わせてあり、あまったるい声で、なにかを撫でるような話しかたをした。
「私は人見張役の小島良二郎という者だ」とその男は云って、微笑した、「人見張りとはおまえたちの世話役のようなものだ、さきほど岡安どのが云われたとおり、この寄場はおまえたちを痛めつけるところではなく、手に職のある者にはその職をはげまし、職のない者には――」
「おんなし念仏じゃあねえか」と金太が栄二に囁いた、「あいつは銀流しだ、赤鬼よりたちが悪いぜ」
「そういうわけで、手に職のある者はその職を与えるし」と小島は続けていた、「職のない者でなにか手に職をつけたいと思う者は、その望みの職を申出るがよい、そのほかの者は川渫い、畑作、土方、お米蔵の荷揚げなど、そのときどきによって人足仕事をふり当てる、わかったな、では手に職のある者、また、望みの職のある者は申出るがよい」