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さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
考えてみよう」
つい数年まえのことだが、津軽のくにから三人の男が、蝦夷ヶ島へ砂金採りにいった。どんなにか苦労をしたうえに、二貫匁という大量の砂金が採れた。ところで気がついてみると食糧がなくなりかけている。季節は九月だが冬の早い土地だから、そのままひきあげるか、砂金を金に替えて冬ごもりの支度をするか、どちらかにきめなければならなくなった。だがそこにはまだ砂金が豊富にあり、ひきあげるにはあまりに惜しかった。それで冬ごもりをすることにきめ、必要な用具や食糧を買うために、一人が砂金を馬に積んででかけた。ところの名はわからないが、その部落までは往き帰り十日ほどの距離だという。残った二人はなお砂金を採りながら待った。五日、七日と過ぎ、十日、十二日と経ったが、でかけていった男は帰らない。食糧はなくなるばかりだから、二人は僅かな米に野草を入れ、粥にして食いのばした。そのうちに二人は、砂金を持っていった男がそのまま逃亡したのだと思い、あとを追おうとしたが、すでに半月の余も経っているし、こちらは乏しい食事のため躯が弱りきって、そんなことは不可能だとわかった。男が戻って来ないとすれば、冬ごもりの用意と食物を集めなければならない。