轻松读懂日语经典作品
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
――博奕をしていた連中も、手習いの机に向っていた者も老人たちも、それまではみな身動きさえしなかった。眼に見えない鎖で縛りつけられでもしたように、その場のすさまじいありさまに圧倒されていたが、りゅうが動きだし、その手で匕首の刃が光ったとき、万吉が夢からさめたようにとびあがった。
「あにいうしろだ」と万吉は叫んだ。
栄二はりゅうに眼をやり、義一を殴っていた杖を持ち変えながら、こっちへ来る万吉に背を向けたままどなった。
「手を出すな、万の字」栄二の声は部屋いっぱいにひびきわたった、「おめえ役所へいってくれ、誰も手出しをするな、これはおれの仕事なんだ」
りゅうは匕首の刃先を上に向け、こっちの耳に聞えるほど荒い息をしながら、じりじりとまをちぢめて来た。栄二はすばやく、義一がのびたまま動かないのを見てとり、そこへりゅうが躯ごと突っかけて来ると、撞木杖を右から左へと振った。りゅうの突っかけた匕首は栄二の左の肩に突き刺さったが、杖で首を強打されたりゅう自身は横へすっとび、板の間の上り端へ転げ込んだ。栄二は隙を与えず駆け寄り、杖を振りあげて殴りつけた。杖は頭に当り胸に当り、横から顔を打った。