轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さぶ

さぶ

山本 周五郎

「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页

青空文庫

それがなんともいえず面白いんだよ、ほんとだぜ」

「いいかみさんになるぜ」と云ってから、栄二は急に話をそらした、「――十六だって聞いたが、としよりずっと上にみえるな」

「苦労したからな」

金杉から坂本町まではひと跨ぎである。夕立のあとで、道は往来する人や荷馬、駕籠などで混雑していた。その中に夫婦づれの飴売りがいて、女が鉦と太鼓を叩き、男がみだらな唄をうたい、往来のはげしい通りを稲妻形に、踊りあるいていた。男は痩せて四十五、六、女は男の倍もあるかとみえるほど肥えて、としも男より五つ六つは上だろう。額の抜けあがった顔をまっ白に塗り、両頬に赤く大きなまるが入れてあった。

――松造じゃないか。

元結作りの松造だ、栄二はそう思い、横眼で男の顔をよく見た。むろん松造ではなかったが、双生児のきょうだいといってもいいほどよく似ていた。

「ああいうくらしもあるんだな」とさぶが悲しげに云った、「どんな気持だろう」

「車が来るぜ」と栄二は云った。

坂本町の家へ帰ると、隣りの夫婦が喧嘩をしていた。亭主の増六はどこかの呉服屋のかよい番頭、女房はもとその店の女中頭をしていたそうで、さぶが移って来たときから、毎日のように喧嘩をしていたという。