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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
そこで一同打ち揃って、お歓びに参ったわけでござりまする」
と、たずさえてきた猪や鶏を献物に捧げ、箪食壺漿して、にぎやかに帰った。
曹操は、軍令を出して、
一、農家耕田ヲ荒ス者ハ斬
一、一犬一鶏タリト盗ム者ハ斬
一、婦女ニ戯ルル者ハ斬
一、酒ニミダレ火ヲ弄ブ者ハ斬
一、老幼ヲ愛護シ仁徳ヲ施スハ賞ス
と、諸軍に法札を掲げさせた。
「善政来!」
「泰平来!」
土民が彼を謳歌したことはいうまでもない。ために彼の軍はその後、兵糧や馬糧にも困らなかったし、しばしば土民から有利な敵の情報を聞くこともできた。
敵の袁紹は、捲土重来して、四州三十万の兵を催し、ふたたび倉亭(山東省陽谷県境)のあたりまで進出してきたと早くも聞えた。
曹操も全軍を押し進め、戦書を交わして、堂々と出会った。
開戦第一の日。
袁紹は一人の甥と、三人の子をうしろに従え、陣前へ出て曹操へ呼びかけた。
曹操は、颯爽と、鼓声に送られて、姿を示し、
「世に無用なる老夫。なお、曹操の刃をわずらわさんとするか」と、罵った。
袁紹は怒って、直ちに、「世に害をなすあの賊子を討てッ」と、左右へ叱咤した。
三男の袁尚が、父の眼に、手柄を見せようものと、声に応じて、曹操へ討ってかかる。