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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
そのほか、純戦闘隊数十万、騎馬あり徒歩あり、輿あり、また弩弓隊あり軽弓隊あり、鉄槍隊あり、工具ばかり担ってゆく労兵隊などまで実に物々しいばかりな大行軍であった。
廬龍寨(河北省・劉家営)まで進んだ。
すでに夷境へ近づくと、山川の気色も一変し、毎日狂風が吹き荒れて――いわゆる黄沙漠々の天地が蟻のようなこの大行軍の蜿蜒をつつんだ。
そして易州まで来ると、曹操にとって、不慮の心配事ができた。それは彼を扶けて常に励ましてきた郭嘉が、風土病にかかって、輿にも乗っているにたえなくなったことである。
郭嘉は、大熱をこらえながら、なお曹操に献策していた。
「どうも、行程がはかどらないようです。かくては、千里の遠征に、功は遂げても、年月を費やしましょう。また敵の備えも固まりましょう。――如かじあなたは、軽騎の精猛のみを率い、道の速度を三倍して、夷狄の不意を衝きなさい。その余の軍勢は、不肖がお預りして病を養いながら、お待ちしております」
曹操は彼の言を容れて、初めの大軍を改編し、雷挺隊と称する騎馬と車ばかりの大部隊をひいて、遮二無二、遼西の境へ侵入した。
道の案内には、もと袁紹の部下だった田疇という者が立った。