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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
しまった人だとある。
その祖先の帰郷した地が、瑯であったかどうか明瞭でないが――孔明の父、諸葛珪のいた頃は、正しく今の山東省――瑯※(「王+邪」、第3水準1-88-2)郡の諸城県から陽都(沂水の南)に移って一家をかためていた。
諸葛という姓は初めは「葛」という一字姓だったかも知れない。諸国を通じての漢人中にも、二字姓は至ってまれである。
もとは単に「葛氏」であったが、諸城県から陽都へ家を移した時、陽都の城中にはばかる同姓の家がらがあったので、前の住地の諸城県の諸をかぶせ、以来「諸葛」という二字姓に改めたという説などもある。
孔明の父珪は、泰山の郡丞をつとめ、叔父の玄は、予章の太守であった。まずその頃も、家庭は相当に良かったといっていい。
兄妹は四人あった。
三人は男で、ひとりは女子である。孔明はその男のうちの二番目――次男であった。
兄の瑾は、早くから洛陽の大学へ入って、遊学していた。
そのあいだに彼の生母はこの世を去った。父には後妻がきた。
ところが、その後妻をのこして、こんどは彼らの父の珪が死去したのである。孔明はまだ十四歳になるかならない頃であった。