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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
てまえの家の氏も関氏で、わたくしは関定というものです」
と、二人の子息を呼んで、ひきあわせた。
どっちも秀才らしい良い息子だった。兄は関寧といって、儒学に長じ、弟のほうは関平とて、武芸に熱心な若者だった。
二十騎の従者をこの家にかくして、関羽はひたすら孫乾の便りを待っていた。――その孫乾は、冀州へまぎれ入って、やがて首尾よく玄徳の居館をさぐり当て、ようやく近づくことができた。
その後の一部始終から一族の健在を聞いて、玄徳のよろこびは何にたとえんようもなかった。しかし今にして悔ゆることは、この冀州の領内へわざわざ帰ってしまったことである。
「もう一度の脱出を、どうして果たそうか。何せい、わしの行動はいま、袁紹や藩中の者どもから、注目されている折ではあるし……」
玄徳の心は、飛び立つほどだったが、身は鉄鎖に囲まれていた。
「……そうだ、簡雍の智恵をかりてみよう。簡雍は近ごろ、袁紹にも信頼されて、おるらしいから」
と急に使いをやって、呼びよせた。
「えっ、簡雍もここに来ていたのですか」
孫乾は、初耳なので、驚きの目をみはった。
その簡雍も、以前の味方だ。聞けば近ごろ玄徳を慕って、この冀州へきていたが、そう見えては袁紹の心証がよくあるまいと察して、わざと玄徳には冷淡にして、つとめて袁紹の気に入るよう城中に仕えているという