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さんごくし

三国志

吉川 英治

06 孔明の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页

青空文庫

取調べてみると、果たして、密書をたずさえていた。

しかも、驚くべき大事を、都へ密告しようとしたものだった。

(呉の孫策、度々、奏聞をわずらわし奉り、大司馬の官位をのぞむといえども、ご許容なきをうらみ、ついに大逆を兆し、兵船強馬をしきりに準備し、不日都へ攻めのぼらんの意あり、疾くよろしくそれに備え給え)

こういう内容である。

孫策は怒って、直ちに、許貢の居館へ詰問の兵をさし向けた。そして許貢をはじめ妻子眷族をことごとく誅殺してしまった。

阿鼻叫喚のなかから、あやうくも逃げのがれた三人の食客があった。当時、どこの武人でも、有為な浪人はこれをやしきにおいて養っておく風があった。その食客三人は、日頃ふかく、許貢の恩を感じていたので、

「何とかして、恩人の讐をとらねばならぬ」

と、ともに血をすすりあい、山野にかくれて、機をうかがっていた。

孫策はよく狩猟にゆく。

淮南の袁術に身を寄せていた少年時代から、狩猟は彼の好きなものの一つだった。

その日も――

彼は、大勢の臣をつれて、丹徒という部落の西から深山にはいって、鹿、猪などを、おっていた。

するとここに、

「今だぞ、復讐は」