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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
吉川英治『三国志(五)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 页
(張飛も趙雲も、おのおの一かどの働きをして実にうらやましく思います。せめて関羽にも、長沙を攻略せよとの恩命があらば、どんなに武人として本望か知れませんが……)
などと、独り留守城にいる無聊を綿々と訴えてきた。
玄徳はすぐ、張飛を荊州へ返して、関羽と交代させた。そしてわずか五百騎の兵を貸して、
「これで長沙へ行け」と、関羽の希望にこたえた。
関羽は、もとより人数の多寡など問うていなかった。即日、長沙へ向うべく準備していると、孔明が、
「羽将軍には注意するまでもないと思うが、戦うにはまず敵の実質を知ることが肝要です。長沙の太守韓玄は取るにも足らん人物だが、久しく彼を扶け、よく長沙を今日まで経営して来た良将がひとりおる。その人はもう年六十に近く、髪も髯も真っ白になっているだろう。しかし、戦場に立てば、よく大刀を使い、鉄弓を引き、万夫不当の勇がある。すなわち湖南の領袖、黄忠という――。ゆえに決して軽々しくは戦えない。もしご辺がそれに向うなれば、さらに、三千騎をわが君に仰いで、大兵を以て当らなければ無理であろう」と告げた。
しかし、何と思ったか、関羽は孔明の忠告も、耳に聞いただけで、加勢も仰がず、たった五百騎を連れてその夜のうちに立ってしまった。