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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页
を作って得意がっているのを見ると、三十歳の諸戸が、当時の秘密好きな変り者の少年みたいに思われ、私達のやっていることが子供らしい遊戯の様にも感じられるのであった。
そして、そんな真剣の場合であったにも拘らず、私は何だか愉快になって来た。諸戸を見ると、彼の顔にも、どうやら浮き浮きとした、子供らしい興奮が現われている。若い私達の心の片隅には、確かに秘密を喜び、冒険を楽しむ気持があったのだ。それに、諸戸と私との間柄は、単に友達という言葉では云い表わせない種類のものであった。諸戸は私に対して不思議な恋愛を感じていたし、私の方でも、無論その気持を本当には理解出来なかったけれど、頭丈けでは分っていた。そして、それが普通の場合の様に、ひどくいやな感じではなかった。彼と相対していると、彼か私かどちらかが、異性ででもある様な、一種甘ったるい匂を感じた。ひょっとすると、その匂が、私達二人の探偵事務を一層愉快にしたのかも知れないのである。
それは兎も角、諸戸はそこで、例の石膏像を私から受取って、暫く熱心に検べていたが、雑作もなく、謎を解いてしまった。
「僕は石膏像そのものには、何の意味もないことを、予め知っていた。