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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页
「アア、蓑浦君、とうとうやっつけた」
諸戸が私に近寄って、つけ元気みたいな顔で云った。
「やっつけたって、あの人達をですか」
私は諸戸が丈五郎夫婦を殺したのではないかと思ったのだ。
「僕達の代りにあの二人を土蔵の中へ締込んでしまった」
彼は両親に話しがあると偽って、蔵の中へおびき寄せ、咄嗟の間に双生児と共に外へ出て、うろたえている二人の片輪者を、土蔵の中へとじ籠めてしまったのである。丈五郎がどうして易々と、彼の策略に乗ったかというに、それには充分理由があったのだ。私は後になってそのことを知った。
「この人達は」
「片輪者さ」
「だが、どうして、こんなに片輪者を養って置くのでしょう」
「同類だからだろう、詳しいことはあとで話そうよ。それより僕達は急がなければならない。三人の奴等が帰るまでにこの島を出発したいのだ。一度出て行ったら五六日は大丈夫帰らない。その間に、例の宝探しをやるのだ。そして、この連中をこの恐ろしい島から救い出すのだ」
「あの人達はどうするのです」
「丈五郎かい。どうしていいか分らない。卑怯だけれど、僕は逃げ出す積りだ。財産を奪い、この片輪の連中を連れ去ったらどうすることも出来ないだろう。