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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页

青空文庫

又しても、ひどい下り坂であった。それを降り切ると、そこにも地底の広間があった。広間の中程から、少しつまさき上りになって来たが、構わず進んで行くと、小高く段になった所があって、それを登ると行止りの壁になっていた。私達はあきれ果てて、その段の上に腰をおろしてしまった。

「さっきから同じ道をグルグル廻っていたのかも知れませんね」私は本当にそんな気がした。

「人間て実に腑甲斐ないもんですね。多寡がこんな小さな島じゃないか、端から端まで歩いたって知れたものです。又僕達の頭のすぐ上には、太陽が輝いて、家もあれば人もいるんだ。十間あるか二十間あるか知らないが、たったそれ丈けの所を突き抜ける力もないんですからね」

「そこが迷路の恐ろしさだよ。八幡の藪不知っていう見世物があるね。せいぜい十間四方位の竹藪なんだが、竹の隙間から出口が見えていて、いくら歩いても出られない。僕等は今、あいつの魔法にかかっているんだよ」諸戸はすっかり落着いていた。「こんな時には、ただあせったって仕方がない。ゆっくり考えるんだね。足で出ようとせず、頭で出ようとするんだ。迷路というものの性質をよく考えて見るんだ」