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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
べらぼうめ、菱餅や豆煎にゃかかっても、上段のお雛様は、気の利いた鼠なら遠慮をして甞めねえぜ、盗賊ア、盗賊ア、盗賊ア、」
と大音を揚げて、
「叱! どこの野良猫だ、ニャーフウー」
一杯に頬を膨らし、呻って啼真似をすると、ごく低声、膳の上へ頤を出して、
「へい、ですかい屑屋ですかい。お待ちなせえ、待ちねえよ、こう旨えことを考えた。一番、こう、褌ゃ切立だから、恥は掻かねえ、素裸になって、二階へ上って、こいつを脱いで、」
と胸をはだけた、仕方をする気が、だらしはない、ずるッか脱げた両肌脱で、
「旦那、五両にどうだ、とポンと投げ出しはどんなもんで。ヘッヘッ、おかみさん。」
「いくらお嬢さんだってその方にゃ苦労人でいらっしゃるから、お前さん、その袷は五両にゃおつけなさりやしまいよ。」
「へい、じゃ嬢的も旦かぶれで、いくらか贓物の価が分るんで?」
さては、と女房心づいて、
「まあ、お前さん、おかしなことをおいいだと思っていたが、じゃ何にも御存じじゃないんだね、私の留守のうちにお話しじゃなかったのかい、」
「何をね、」
「それだもの、ちぐはぐになる筈だ。屑屋をなすっていらっしゃったのはお嬢さんだよ、お嬢さんなんだよ、お前さん。