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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
から、白薔薇と、平打の簪とで、生命がけの相談、定子を殺そう、と一人は、一人は定子になって殺されようというのが極って、打合わせもしないで両方とも立派に覚悟をして出かけたばかりか、とうとう真ものにしてしまった。
生命を軽んずること鴻毛のごとく、約を重んずること鼎に似たり。とむずかしくいえばいうものの、何の事はがあせん、人殺しの飯事だ。
が、またこの飯事が、先生、あの二人でなくッちゃ、英雄にも豪傑にも、志士仁人にも、狂人にも、馬鹿にも出来ない、第一あなたにも私にも出来ませんて。
何の出来ずともの事だけれど。……」
と丹平は附加えた。
「私、愛吉が来てからの一件。また当日お夏さんがちょいと関戸の邸のもみじを見て来よう、と……もっともいつか中から行って見よう、といいながら、出ぎらいな方で行かなかったのを、お午過ぎに湯から帰ると、一人でずんずん着ものを着かえた。直近いのに吾妻コオトなり、頭巾なり。ちっと帰りが遅いから、気になって、婆さん、横町の角まで出ていた処を、私に会ったと云うんでがしょう。さあ、気になる。私一向遣り放しで、もの事を苦にはせんから、虫が知らせたというようなわけではない。