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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
」
「いや、恐縮ですが、また、さほど大した御容体でもなかったと見えまして、貴下が、こっちへ御入院という事は、まったく、今朝はじめて聞いて一驚を吃しました。勿論社の方へは暫時御無沙汰、そんなこんなで、ちっとも存じませんで、大失礼。そこで、すぐにお見舞と申す内にも柳屋の方が主であるようで相済まんですが、もっとも向うへ顔出しをする気はないので。それでなくッても私商売などは、秘密の秘の字でもある向には、嫌われるで、遠慮をしますから、悪からず。」
「私はまた(何の病気、)と聞くと、
(熱が酷いんでしょう、)といったばかり。
(婦人だね、)
(はい、少いお嬢さん、)
(幾歳ぐらいの、)
(二十か、九でおいでなさいましょう。)
柳屋のはもうちっとになったでしょう、こりゃ少く見えたんです。
そこまで聞いて、まさか、名は? とまで尋ねるでもないから、そのままにしましたが、一体何となく継穂のない、素気ない返事だと思ったんですが、もっともだ。じゃ、山の井先生のために、この病院長が、全院を警戒して秘密にしたんだ。」
「そうでがすとも、ごく内証ですから、憚って、自分の病院があるのに、こっちへ依頼をされたんで。