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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
「それがどうです。
(熱い、熱い、熱いねえ、)
今もいいます通りね、一昨日の晩は、それッきりだったが、昨日の午後二時頃にはまた、
(熱いの、熱いねえ、熱いねえ、)
昼間だから、夜分のようにはないんですが、傍で何かいって切に慰めたようだった。
(熱いわ、何て熱いんでしょう、)
とあきらめたように、しかも哀にきこえた処へ、廻診の時間じゃないのに、院長が助手と看護婦長とを連れて、ばたばたと上って見えて、すっとこの室の前を通ったんだね。
そこへ私の看護婦が来ましたが、体温器を掛けにです。戸口へ立停って、しばらくその方を見ていました。
しばらくすると、皆下りて行く。看護婦が入ったから、
(あすこのはわるいのかね、)
(はい、どうも不可ませんそうです、)
……は心細い。
(気の毒だね、)
(ほんとうにお可哀相でございますよ、)と婦人は相身互、また一倍と見える。
私は素人了簡で、何とか、その熱が上らないだけの工夫はありそうなものと思ったから、
(やっぱり冷しているんだろうか、)
(氷嚢を七箇でもう昼夜通していますんです。)
(七箇!)
と私は驚いた。
(お頭へ一箇、一箇枕におさせ申して、胸へ二箇、鳩尾へ一箇、両足の下へ二箇です。