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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「こらっ、なんだ、きさまの横に置いてある物は」

「はい、はい。これはこの坊主から奪り上げた禅杖と戒刀でございまする」

「坊主の得物か。これへ持ってこい」

「へい、ただいま」

やっと持ち上げるような重さを見せながら、曹正はその二品を、階段の真下においた。いやそれはちょうど魯智深の鼻の先へ供えたようなものだった。

「たわけめ!」と、※(「登+おおざと」、第3水準1-92-80)龍はどなった。「――持って上がれと申すのだ。なんでそんなところにおくか」

すると、それまで首を垂れていた魯智深が、

「いや、そこでいい」

といったから、※(「登+おおざと」、第3水準1-92-80)龍は跳び上がって驚いた。

「なんだと、この曳かれ者が」

「※(「登+おおざと」、第3水準1-92-80)龍。おまえの首は、もう横を向く間もないぜ」

いったと思うと、魯智深は後ろに廻していた縄目をばらッと解いて、禅杖へ手を伸ばすやいな、猛吼一声、階を躍り上がって、のけ反る※(「登+おおざと」、第3水準1-92-80)龍の真眉間を打ちくだいていた。

縄目は偽結びにしてあったのだ。智深の行動とともに、楊志や曹正なども、慌てふためく賊の手下どもへ立ち向っていたのはいうまでもなく、また、彼らが手もなく慴伏してしまったのは勿論だった。