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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「なんだこんなに大勢いながら。――なぜあの首かせだけでも、早く脱ってあげないのか」
「あいや」宋江はすぐ言った。「――これは国のおきてだ、当然な法の処置だ、どんな友達の好意であろうと、よけいな事はしてもらいたくない」
「はははは」と、軍師呉用がそばで笑った。
「それもあなたらしい。お気もちはよくわかる。しかし、晁のおかしら以下、ことごとくあなたに一目会いたがっている。どうです、一応おいで下さらんか。しかる後、刑地の旅へいさぎよくお見送りいたしましょう」
「おう、呉先生だけは、私の気もちをよく知って下さる」
宋江はうれしかった。おまかせするといわざるをえない。しかし端公ふたりは、あくまでそばに連れてあるいた。
江岸から舟に乗る。先では山轎で山路を登り、断金亭で一ト休みをとる。
するうちにもう晁蓋をはじめ、頭目一同が迎えに来て聚議庁へと誘ってゆく。――そして過ぐる日の顔合せの序列で、宋江の椅子を中にし、二列に並んだ。
「おかげでこのとおり、山寨には九名の豪傑をあらたに加え、いちばい綺羅星の陣を強固にいたしました。すべてこれは宋先生のご恩恵と申すもので」
「いやいや晁君、またほかの諸兄もお笑いください。