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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
「するとやはり、祝朝奉の一族の家なのか」
「そうです。――詳しくいうと、祝朝奉というのは、土豪の本家で、その西の麓に扈家荘、東に李家荘、三つの部族でこの地方三百里四方をかためているんで」
「えらい勢力なんだな」
「それに、祝朝奉には、祝氏ノ三傑といわれるいい息子が三人も揃っているし、また西の部族の扈家荘にも、飛天虎の扈成というたいした腕前の一子やら、またその妹には、一丈青の扈三娘といって、日月の二刀を馬上で使うという稀代なお嬢さんもおりますしね……」
「そして、おまえさんが抱えられている主人というのは?」
「もう一ヵ所の、東の麓に居館をもっている同族の当主で、つまりその人が李家荘のおあるじ……。みだれ焼きの槍の上手で、また、戦場では、五本の“飛閃刀”を背にかくし、百歩離れて人を仆すという神技の持ち主です」
「では、その李家の旦那というのは。……もしや世間でもよく噂にのぼる撲天の李応ではないのか」
「そうです!」と、彼は自慢していった。「大人物です。世にいう侠漢です。ぜひ、いちど会ってごらんなさい。そして、お連れの人のことも、事情をいって頼めば、呑みこんで下さるにちがいありません」