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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

と、生きての再会をよろこびあい、また、

「ひとえにこれは、病尉遅以下、君たち一同の奇計がもたらしてくれた大功だ」

と、宋江はひとかたならず、孫立たちの労を謝した。そしてただちに、城内の財宝を外へ運び出させることにした。

なにしろ万戸の王侯にひとしい祝朝奉家の蓄えである。武具、爆薬、穀物、車輛、また奥の調度品には、絹、糸、油、金銀、それと牧場にも、牛、羊、騾馬、家鴨などまであって、その集荷には、七日も要したほどである。

「すべてこれは梁山泊へ運び入れよう」

軍師の呉用は言ったが、宋江はそれに反対な色をみせた。

「われらは世から盗ッ人といわれています。だが人は言っても、われらの内では盗は盗でも、ただの悪には終るまい、何か一善は、世間にお返ししようぜと、これは鉄則にしていたはず。――いま、多年苛烈な鞭の下に農奴を泣かせて富み栄えてきた祝家をここにぶッ潰したのも、天に代ってしたものとしなければなりません。さすれば当然、分捕りの財は、それの大半を窮民へ分け与えてやるべきかと思いますが」

「よかろう。もとより徳を施すことならこの呉用から梁山泊の面々も、異存のあろうはずはない」