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にっき
日記
宮本 百合子
27 一九四四年(昭和十九年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页
K、S、夜松原さんによばれ、ずっと国府津行。
Kは自分たちが楽しむために行くのだが、それが重くてSはおつき合の感はっきり。Kも気の毒な男と思う。対手のよろこぶように、というより、よろこばせたい自分の気持からだけ、その流儀でだけやって、いつもそれが対手の要求と一致しているとは云えないのだから。そして、これは本人の生活態度と社会一般の生活事情との間にあるギャップが大きくなるにつれて大きくなって、孤独に陥る傾向をもっている。理解されない人というものを見ていると、必ず、本人に自分の勝手があるなり。
夜、「木菟党」よみ終る、これだけ勉強をもとめる小説は一寸ない。「誰がために鐘はなる」はそういう勉強を求めるところ迄行っていないということに気づく。この小説で、イギリスの側でかかれたこの時代の小説を少くともよみたくなる。ヘミングウェイは、ああいうマドリッドに集ったアメリカをよませたいというところに行っていない。
〔欄外に〕
風おちぬ しづもる屋根に白白と 雪おもしろく月さしのぼる。
日本の正月七日に立つ風は、凧のうなりぞそぞろ恋はし
子らはみな飛行機タンクと群れ走り凧あげなどははやすたれたるか。