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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

早くかえって来たいと云っているが。

うちのことは島田からの手紙で書いたようにまだはっきりきめられません。けれども島田へ四十日近く行っていた経験で、私がそちらにつれて動くことが多くなれば家を一軒もっていることは全く無意味です。林町の離れは、ぐるりがぐるりであり、又いろいろ大局的に、教育的に影響がよろしくない。たださえ私が金持という伝説が偏見とさえなって流布しているのですから。

生活の本質の成長というための努力は、時には一見まことに些細なような点でさえ相対的には大切なことがあります。うちのことなど単に便宜上だけのことでないから、いつぞやあなたも一寸仰云ったように、よく考えてきめたいと思います。親しいひとたちは今のような風に生活して行けないかしらと云うが。いっそのことそこの塀のそとへキャンプでも張ってしまいましょうか(※(感嘆符二つ、1-8-75))

島田の方へわざわざあの本(文芸百科辞典の)送って下さって本当にありがとうございました。送って下すったのが着いたとき私はもう立ってしまっていて、フセンがついてこちらへ届きました。ざっと読んだことがある。けれども又読みかえそうという気になりました。