轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
万一、そういうつよいいい歯とその歯が根気よく噛んで呉れる互の結び合いとがなかったら、私は或は金かもしれないが、あっちこっちに多くの無駄なもの、堅いものをもったままで終ったでしょう。そして、それは金であるとは云えない。遂に、金なるべくして成りとげなかったものというだけです。
どういう事情からにしろ、糸の切れたタコの状態があって、それが客観的に賞讚されないものであるということは、よくよく肝に銘ずべきと思う。この間の日曜も重治さんと文学談をやって、現代文学の大目付という言葉が出された。何か私にはピーンと響くものがあり、思わず力をこめ、居る、というだけが大目付ではない、どうしている、ということできまることだ、と自分に云いきかすように云ったことでした。
全く、この間、私がいやがって右や左へかわそうとする首根っこを、柔かく、而もしっかりつかまえられて、逃げも出来ず、くさいきたないものへ眼を向けさせられ、鼻面をすりつけられたこと、忘られない。涙をこぼしながら、ウムウムと、そのきたなさやなにか承認しなければならなかった、その味も忘られない。その後の爽やかなすがすがしさ、涙顔ではあるが、本当に納得行って心地よく笑い、首ねっこを抑えていた手に一層の愛着を覚える、そういうようなうれしさも忘られない。