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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

をなしますね。或ものは、性格の欠陥と見きわめつけば益※(二の字点、1-2-22)決定的に判断する傾きになり、一方は、それは特定の方面にもっている欠カンであってと、欠陥が根本的にどんな作用を及ぼすかということは場合場合によってちがうという風に観る。

漱石の「三四郎」に、ピティー アキン トゥ ラヴという言葉をどう訳すかという場面がある。可哀そうだは可愛いってことよと都々逸風に云い直している。

卑劣さということの解釈も亦そういう点の理解の相異によって相異して来るのですね。或特別な性格がその性格としてそうしか考えられず、やったことは低いには低くても卑劣と云い切れるものでないという風になるらしい。元来そんなの変だ、というのと、あのひとは元来そうなのだから、ということでは、ちがった標準に立っているわけです。面白いものね。

弱い、そして主我的な人は、自分の痛いところを劬ってわかってくれることに対しては、云うをまたず自身の純情を吐露してよろこぶでしょう。すがるでしょう。対手のそのような善良さに、ここをせんどとしがみつくでしょう。功利的な意味でなく、自分のせめてものよい部分を生きのこしてゆくためにも。