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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
という一言が、お互にとってどんなによかったか確認した表現を下さい。それは決して手のこんだことはいりません。ユリがこのようによろこんでいる、よかったは何よりだった、それでもう十分です。生活というものは考えるとこわいようね。当然通じているにきまっているとひとりのみこみしていては実に大変なことさえあるのだから。書きながら、あなたがニヤニヤしていらっしゃるのも見えます。「それは成程よかったし、寧ろ当然なことだが、マアそういう点まで一応訊ねさせるものがあったということについて自省を向けているのは、正しいね」と。主観的の善意の具体化ということは、全く云われている通りですから。
自分としては何かしっくりはまりこみきらない切なさを一方に感じつつ、それでも最も正当に最も健全に、あなたの云われている諸点について考え、努力して来たこと(この二・三ヵ月)は、結果としてよろこびをもたらしました。
本当によかった。これから私は文字どおり曇りなき快活さで、いろいろの改良に従ってゆけますから。再び自分を心から抱かれている者として信じることが出来ますから。これは私にとってどれほどのよろこびと勇気の源泉であるか、きっとおわかりにならないでしょうね。