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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

。

「ロビンソン」と「トム・ジョーンズ」と「虚栄の市」がフランス訳になる、「ロビンソン」はジャン・プレヴォストが序文をかくのだってね。どういうのでしょう。

スウェーデンのセルマ・ラゲルレフが八十歳のお誕生を祝われ、国家的祝祭を受ける由。この白髪のお婆さんは、キュリー夫人と何と対蹠的な表情、かまえ、書斎をもっていることでしょう。伝記もうお読みになりましたか。ちょいちょいみただけですが、ここにもこのように生きた人たちがいる。そういう気持もするでしょう? あの夫妻は、良人の方が柔軟な性格だったらしく見えますね。それにしろ、何とフランス型の科学者でしょう、彼は。フランスの科学はああいうタイプによって口火を切られて、よく国外でその完成を見るのに、キュリーの場合は、夫人がその点での驚歎すべき実行力というか手となっている。

そう云えば、鴎外の『妻への手紙』が杏奴の解説で出ましたね。いつか、愛子夫人が蘆花の家信を自分のと一緒にして出したが、ああ主観的で、あくがつよいばかりだと、第三者は、性格研究のためにでもない限り益をうけることは少い。前田河の『蘆花伝』はその主観性の中に伝記者までたてこもったものらしい。