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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
窮局において、やっぱり実にいい歳末であると思います。かぜも亦大いに価値がありました。
私は可笑しくて、この間うちかぜを深めまいとして吸入をやったら、いくら顔が湯気であたたかでも、それに比例して背中がゾーゾーなって、一向よくなかった。妙なことですね、子供のうち吸入というものは何だか泣きたい程ムンムンとあついものであったが。
寿江子、私のやるべき外まわりを引きうけてやってくれるので大助りです。今頃九段をのぼっているでしょう、弁護士のところへ金を届けに。
ああそれから、そちらで〔この後約一行半抹消〕『馬仲英の逃亡』およみになったのですってね。てっちゃんが送ったのですってね。スノウの本には馬一族のことが、展望的に出ていて、丁度、この本に扱われていることがらも大略の輪郭(外交上の意味の点から)見えて居りました。
柳田泉の『世界名著解題』どの位お役に立ち得るかしりませんが送ります。(只今注文中)
十二月一日から十日間の表。どうぞ御勘弁ね。帳面うつせばいいのだが、今すこし面倒ですから。
きのうは、お元気らしいのがはっきりわかっていい心持でした。この間うち、自分が妙になりかかっていた故か、どうもあなたが湯ざめしたような顔つきをしていらっしゃるようで気がかりだったけれども。